未来彼氏、
気の全く乗らない残業で帰れた時間は十時を過ぎた
『ただいま…和也??』
電気もつけずに部屋は真っ暗
でも鍵は開いていたから和也はいるはず
『………和也??』
私は家の中をあちこち歩きまわった
「あっ、夢裕…おかえり」
『………どうしたの??』
和也はベランダにいた
「…なんでもないよ」
『でも和也………』
どうして泣いてるの…??
彼は夜空を見上げて涙を流していた
痛かった
≪なんでもないよ≫と言う彼が
痛く見えた
「………夢裕??」
だからかな…??
無意識だった
私は和也の背中を抱きしめてた
和也はとくに驚く様子もなく
私の手に優しく触れた
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