Orion
Orion
「リーダー! 見て見て!」
ファーの付いたフードを目深に被るクーの口から、真っ白な息が吐き出される。
屋上は、とても冷え込んでいた。
「星! すっげー! 東京でここまで見えたの初めて!」
夜空には、満点、とは言い難いが、幾つか星が輝いている。
皮肉にも、街から灯りが消えたことにより、初めて都内に来た夜――試験の前日に見た夜空より、一層星が輝いて見えた。
落下防止のために張られたフェンスにすがりつき、夢中で空を見上げているクー。
そんなクーが何だか微笑ましくて、セージの頬が無意識に緩む。
「あ! リーダー! 見て見て!」
クーの、白く細い指が天を指す。
「おれたちと同じ星!」
「同じ?」
肌を刺すような冷たい風が吹き、クーのフードに付いたファーが揺れる。
ややあって、真っ白な息がセージの口元からこぼれた。
「……そうだな」
深い闇に染まった空には、三つ仲良く並んだ星が、キラキラと瞬いていた。
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2019.1.26 旧サイトより移動
「リーダー! 見て見て!」
ファーの付いたフードを目深に被るクーの口から、真っ白な息が吐き出される。
屋上は、とても冷え込んでいた。
「星! すっげー! 東京でここまで見えたの初めて!」
夜空には、満点、とは言い難いが、幾つか星が輝いている。
皮肉にも、街から灯りが消えたことにより、初めて都内に来た夜――試験の前日に見た夜空より、一層星が輝いて見えた。
落下防止のために張られたフェンスにすがりつき、夢中で空を見上げているクー。
そんなクーが何だか微笑ましくて、セージの頬が無意識に緩む。
「あ! リーダー! 見て見て!」
クーの、白く細い指が天を指す。
「おれたちと同じ星!」
「同じ?」
肌を刺すような冷たい風が吹き、クーのフードに付いたファーが揺れる。
ややあって、真っ白な息がセージの口元からこぼれた。
「……そうだな」
深い闇に染まった空には、三つ仲良く並んだ星が、キラキラと瞬いていた。
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