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四ツ谷

「クーちゃん、何言ってるんだい。まだ1つ目を置いたばかりじゃないか。」

「でも……」

「これは、仕事なんだよ。しかも、ボク達にしか出来ない仕事だ」


探知機を置くこと。これが今回の任務だ。
ダンジョン内の構造が分かっていた天球儀や渋谷とは違う。どのような構造になっているか分からない場所に、ムラクモ以外の人をおくる、というのはあまりにも危険すぎる。


「ボクだってこーいうのは苦手だよ。でも、これは仕事なんだ」


再度、仕事という単語を強調して言った。
ロザリーは続ける。


「それにね、クーちゃん。嫌だから、って逃げるのは、子どもがやることだよ」


それとも、キミはまだ子どもなのかい?
挑発するようなロザリーの口振りに、クーは勢いよく首を左右に振った。


「おれ、は……、子ども、じゃない……」

「ボクもそう思うよ。だってキミは、ボク達をいつも守ってくれるしね」


無言で俯いたクーに、セージが歩み寄る。

最初会った時はセージの方が背は高かったのだが、3か月眠っている間に抜かされてしまった。
そのため、今ではクーの方がセージよりも拳一つ分ほど高い。

セージは、躊躇する素振りを見せながらも、頭一つ分大きくなってしまったクーの頭を撫でた。


「無事終えたら、皆で温かいココアでも飲もう」


誰かが触れてくれている。それだけで気持ちが落ち着いたのか、クーの肩から力が抜けていく。
そして、空いた腕の袖口で乱暴に顔を拭うと、大きく、そしてしっかりと頷いた。



「……おれが、リーダーと、ロザを、守るよ」







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2012.12.27に書き直し
2019.1.26 旧サイトより移動
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