遂にこの日が来た。
オールマイトとアングラ系ヒーローに特訓してもらった成果をここで発揮しなければ。
足を進める。使い慣れたスポーツシューズの紐が揺れる。
実はあの特訓の後、雄英から推薦入学用の紙が届いていたのだ。
このまま推薦で進めば良いのかもしれないが私のプライド的に普通の試験を受けたかった。
なので直々に校長に普通の試験を受けさせてくれと頼みに行った。
確かに雄英の推薦も受かるのは至難の技だ。でも倍率は普通の試験の比にならない。
それに私のところに届いていたのは、試験を飛ばして入学できるという旨の紙だったからだ。
あのネズミの校長は受かってもあくまで推薦枠での入学扱いだと言っていた。
何故かはよく分からないが、だからといって何かあるわけでもないらしい。
まあそんな事はどうでもいいが。
やっと、NO.1ヒーローのスタートラインに立つことが出来るのだ。
ずっと憧れてきたのだ。オールマイトに、プロヒーローに。
もう憧れて何年だろうか。物心ついた頃には既にヒーローを志していた。
その憧れのヒーロー達に一足先に会えたのは嬉しい誤算だった。
そして特訓まで見て、してもらえるなんて。
最高のヒーロー達は皆、学生時代に逸話を残している。
「考えるより身体が先に動いた」と。
いつかは言ってみたいセリフだ。こんなにも格好いいこと中々言えない。
そんな彼らはこの壁を突破して最高のヒーローになっているのだ。私も超えなければ。
足に力を込めて門をくぐる。入った刹那、世界が変わった気がした。
改めて口に出すと、この場の緊張感が伝染してきそうだった。

「ここが雄英高校...！」

大きな校舎を睨む様に見上げた彼女は、無駄のない動作で進む。
周りには沢山の人で溢れかえっているが、彼女は一切気にしない。
それどころか、逆に彼女の姿が彼らの目を引いた。
凛とした態度、堂々した姿勢、そして一際人目を引く容姿。
動きに合わせてなびくプラチナブロンドと鋭い銀の瞳。発育の良い身体。
真っ直ぐ伸びている道のど真ん中を歩く彼女からは自信が満ち溢れていた。