職員室で相澤は自身の生徒である花京院蝶の資料を見ていた。ペラペラと何枚かあるうちの一つで相澤の手は止まる。そこには蝶の幼少期についての個性事件が書かれていた。


「あら、例の子？」


その１枚を見ていると横からミッドナイトが入ってきた。書かれている文字を読みながら相澤は頷き返事をする。


「ええ、俺を覚えていないみたいで。」
「あら、彼女何日か預かっていたのに事件の担当ヒーローがイレイザーヘッドって覚えてないのね。」
「個性把握テストをしたときに少し反応はありましたけど、覚えてるっていうは反応じゃあありまあせんね、あれは。」


そうやってミッドナイトと話しているとオールマイトや根津校長までもが話に入ってきた。


「花京院くんはその事件の後から体を鍛えているんだってね。今日の戦闘訓練もプロに匹敵する動きをしていたよ。」
「そうなのかい？それじゃあ将来有望だね！まあ彼女が相澤君を覚えてないのも無理はないさ、小学校一年生の時の事件だろう？それに記憶も混濁しているらしいじゃあないか。」
「はい、それくらいだったと思います。まあ覚えていなくても思い出させるんですけどね。」


そう言って相澤がニヤッと笑ったところで職員室の扉がガラッと音を立てた。ブラドキングや13号に続いてプレゼントマイクが入ってきた。


「HEY!みんなで何の話してんの！！」
「あれよ、例の花京院さんの話。相澤君が忘れられてるのよね。」


ミッドナイトがマイクの質問に答えるとマイクはびっくりしたような顔で衝撃の一言を言い放った。


「エッ！？俺さっき廊下で声掛けられて、もしかして小さい頃お世話になりました？？って聞かれたからてっきり俺たち二人覚えてたんだと思ってたぜ！？」


その一言で職員室の一角が静まり返る。


「マイク…今日の残業手伝えよ…。」
「ウソだろイレイザー！？」

事件の担当ヒーローとして少なからず関わったのに自分だけ忘れられているのことに腹を立てた相澤の怒りはプレゼントマイクこと同僚の山田ひざしへとむけられたのである。