兄と仲違いをした。兄を追ってエジプトまで仲間たちと旅をした。その旅で兄も仲間も失ったが肝心の敵は倒した。平和な街で殺人鬼を倒した。大切な友人と友人の娘と共に運命と戦った。その結果、私だけが世界から取り残されて消えていった。



これが前世の私の大まかな記憶だ。私が今世に生まれて7年になるが思い出した時の衝撃は大きかった。記憶を思い出すと同時に〝彼女〟も発現した。一人世界から取り残された私でも、最後まで傍らには〝彼女〟がいた。〝彼女〟とは兄と仲違いをした原因である〝スタンド〟の事だ。

前世はスタンドと呼ばれる生命力が具現化したものを持つ人間がいた。兄も私もそのうちの一人でどうやら今世でもスタンドを持つ人間はいるらしい。今世でも花京院家に生まれ、同じ両親と兄を持った。そしてなんと兄も前世の記憶を持っているのである。これには何も言えなくなるほどに驚いた。そしてもっと驚くべきなのは、今世は個性という力が当たり前に存在するということだ。

私と兄はスタンド使いだということがあってか、個性は「波紋」である。そしてありがたいことに今世では兄と仲違いすることもなく仲良くやっていけている。
ただ残念なことに、前世は1つしか違わなかった歳が今世では4つも離れてしまった。それに嬉しいことにご近所さんである幼馴染はあの承太郎さんたちジョースター一族である。しかもみなさん前世の記憶があるのである。


「蝶ちゃん？もうかえる時間だよ？」
「あ、うん。ありがとう、また明日ね。」


考え事をしているうちにどうやら下校時刻になっていたらしい。前世のおかげで見た目は小学1年生でも、中身は立派な成人なのだ。小学校ではなかなか馴染めないが元気に、平和に小学生をしている。幸い4つ上の学年には兄がいるし、5つ上には承太郎さんがいる。

そんなこんなで生きている、花京院　蝶です。