「出入り禁止って！
そっそんなっ」
「うるせぇな。
文句あんのか？」
素っ頓狂な声の主を
振り返って睨みつける茶色の瞳。
縮みあがって首を振る史浩。

「あれほど言ったのに…
なんでなんだよっ」
小さく呟いて奥歯を噛む貴之。


『おい涼介っ
あやかに手ぇ出したら
出入り禁止にするからな？』
思い出す帝王の言葉。



やっぱり

手を出したのか！？


いやでも…

あやかちゃんは貴之を好きだし…

涼介は無理やりとか強引にするタイプじゃない。


じゃあなんで？


「貴之っ朝飯は？」
考え込む２人の頭上から降ってきた声。
落ち着かない様子の武田。

「いらねぇよっ」
「そうか…」
しばしの沈黙。
破ったのは帝王。

「あやかは？」
「まだ寝てる。」
「…ひとっ走りしてくる。」
「あぁ…気を付けてな。」
ため息をついてから歩き出した大きな背中。
呆然とそれを見つめたまま立ち尽くす史浩。


何が

あったんだ？


「涼介は帰ったか？」
いつの間にか横にいた武王の社長。

「あっはい！
いったい何があったんですか？」
飛び上がって驚いて
思わずもらした質問。
まずため息をついた武田。