「てめぇは…赤城のベンツ…」
自分を貫く帝王の瞳。

黙ったまま頭を下げた涼介。

「白は俺の色だ。
ハイウィンズには俺以外、白はいらねぇ。」
「分かってます。
史浩さんに見て欲しいだけです。
ハイウィンズに入ろうとは思ってません。」
低い声。

圧倒的な存在感。

少し震えた涼介の声。

「そう言う事なら勝手にやりゃあいい…
武田はユキに専念しろよ。」
「あぁ分かってる。」
神妙な顔で頷く武田。

不安そうに見上げる薄茶の瞳。

「たかにー…」
「ごめんな、あやか。」
「うん…」
優しくあやかに囁いてから涼介を一瞥する帝王。

まっすぐな切れ長の瞳。

かすかに感じた予感。

これ見よがしに抱き寄せた肩。

「宿題あんだろ？
見てやるよ。」
「うん。」
ちらりと自分を見上げた女神。

また暴れ出した涼介の心臓。

細い腰の辺りで小さく振られる右手。

少し笑って頷いて見せた涼介。

そんな涼介に目を光らせつつ背中を向けた貴之。

「ロータリー乗るんなら慣らしぐらいやれよ。
こんな臭いまき散らされちゃたまんねぇからな。」
「あ…はいっ」
「史浩。
車の前にドライバー教育しとけ。」
冷たく言い放つ背中。