「新古車…」
「こんなん…
オークションに出るわけねぇし
聞いたこともねぇぞ…
どこで買った？」
呆然としている車屋２人。
揃って見つめる切れ長の瞳。

「父の知人です。
車庫に飾ってあったらしいんですが
無理を言って譲ってもらったと聞きました。」
「あっもしかして
松苗のじじいか！」
「あ…そうですね。
松苗さんです。」
「あのじじいめぇっ」
歯ぎしりして悔しがる武田。
あっけにとられる涼介。

「松苗さんって…あのクラウンの…」
「そうだ。
乗らねぇなら売ってくれって
さんっざん頼んだのによぉ！」
「手放したんですか！？」
「あぁ…命の恩人に頼まれたって…
命の恩人？」
再び見つめる切れ長の瞳。
小さく頷いた美少年。

「父は医者です。」
「あ～っやられたっ！
そりゃあ断れねぇよなぁ…あ～あ。」
がっくりとうなだれる武田。
思わずもらした苦笑。

「これ…自分でチューニングするの？」
「いや…まだ知識がないので…出来れば」
「俺にやらせてくれないかな？」
涼介の言葉をさえぎる熱のこもった声。
顔を上げる武王の社長。

「そうしてもらえたら…
ありがたいですが…
いいんですか？」
遠慮がちに尋ねる涼介。