「あっ初めまして。」
「おっなんだ？いい男だな。
俺は武田篤志。ココの社長だ。」
つなぎの胸ポケットから出した名刺。
丁寧に受け取る涼介。

「高橋涼介です。」
「高橋涼介な、覚えた。
しかしなんだって白ＦＣなんだ？」
「あやかちゃんに言われたらしいですよ。」
ボンネットを開けながら言う史浩。

「あやかがぁ？」
「はい。」
「そんな…
あやかに言われたくらいで決めちまうなんて…」
「別になんでも良かったので…
勧めてもらえて助かりました。」
「そうかぁ？
わりぃな…あやかの気まぐれで…」
穏やかな笑顔に頭を掻く武田。

「これは…」
目を見開く史浩。

「どうした？」
「見て下さい…これっ」
驚愕の表情。
言われるままに覗いたエンジン。

「なんじゃこりゃっ」
「どうかしましたか？」
大げさに驚いた社長。
不安げに言った涼介。

「ちょっと待て！
こいつ走行距離は？」
「そんなにないと思います。
新車なので…」
「しっ新車！？」
「あ…新車ではないのかな？
新古車って言うらしいですね。」
淡々と話す声。
あぐあぐと口を動かしながら
しきりに頷くアホ丸出しの武田。
目を見開いたままの史浩。