買ったら来るように言われた？

誰にだよ。

まさかあやかじゃねぇだろうな…


じっと青年を見つめるワタル。


俺と同じ年…いや、ちょい上か？

いい男だな…


清潔感の漂うシャツ。

切れ長の瞳に宿る情熱的な光。

不意に下がったサラサラの髪。


「初めまして。
俺は高橋涼介と言います。
史浩さんはいますか？」
「史浩さん？
あぁ…呼んでくる。」
ちらりと一瞥してガレージへ戻るワタル。


なんだ…史浩さんの知り合いか。

それにしたって白いＦＣなんて…

アホだろ。

もうすぐ原田さんが帰って来るってのに…


「誰だった？
今日はもう予約ないよな？」
「史浩さんの知り合いみたいですよ？
高橋涼介って若い男です。」
「高橋涼介…」
唇に手を当てて考え込む史浩。

「白いＦＣですよ。
高崎ナンバーの…」
「ＦＣ！？
あっ赤城の美少年か！」
思い出すベンツ。
照れたような笑顔。


本当にＦＣを買ったのか…

しかし白って…

貴之が見たらなんて言うか…


苦々しい表情。
小さく笑ったワタル。

「ハイウィンズの掟を知らないなんて
ホントに素人なんですね。」
「あぁ…そうだな…」
上の空な返事。