さらさらの髪。

折り目正しいシャツ。

情熱的な切れ長の瞳。

缶コーヒーを口に運ぶ細くて長い指。

確かな存在感。


俺と同じくらいか…


貴之が心配になるのも分かる。


なんだろう？


おかしな感じだ。


ふと重なった視線。

小さく会釈した史浩。

不思議そうな顔をした少年。


「こんばんは。」

「あ…こんばんは。」

声をかけると遠慮がちにする返事。

「いいベンツだね。」

「父のです。」

冷たい口調。

少し笑った史浩。

「冷やかしに来たんじゃないんだ。
ベンツでわざわざ来る理由を知りたくてね。」

「聞かなくても分かってるんじゃないんですか？」

「ははっそうだね。
じゃあやっぱりハイウィンズを見に来たの？」

笑顔の史浩。

不機嫌そうに頷く涼介。

「怒らせちゃったかな？
俺は武王のスタッフでハイウィンズのメカニックなんだけど。」

「えっ」

明らかな変化。

もう一度 微笑む史浩。

「やっぱり車が好きなんだね。」

「はい。
車は買います。」

「そうなの？何を」

「ＦＣです。」

史浩の声をさえぎり力強く言った名前。


その瞬間、

突然に高鳴った涼介の胸。