「よぉ兄ちゃん！
いい車のってるねぇ。」
突然の声。
ハッと顔を上げた涼介の視界に飛び込んできた
茶髪の男３人。

「父の車です。」
「ほぉ～じゃあ
お父さんはお金持ちなんだろうねぇ…」
停められた大きなベンツをじろじろと見る男たち。
冷たい切れ長の瞳。


やはり来るべきじゃなかったか…


せめて一目だけでも見たかったんだがな。


関東最速と称されているハイウィンズとレッドウィンズ。

「とりあえずコースレコード作っとくか。」

帝王の一言で始まった峠巡り。

ついに回って来た赤城。

噂を聞きつけてやって来たギャラリー。


「将来的に医者になるなら
今は何をやってもかまわん。
啓介のようにとは言わんが
お前も何か夢中になれるものを見つけてこい。」

そう父に言われて真っ先に頭に浮かんだのが車。

「そうか…
お前は昔からスポーツカーが好きだったな。
とりあえず免許を取ることだ。
欲しい車が決まったら言いなさい。」

教習所で初めて知ったハイウィンズ。
自分と同じ年のリーダー。
やけに気になった噂。


『レッドウィンズのリーダーはヒトじゃない。
女神なんだぜ。』

女神…

やけに騒いだ胸。