「でも…大丈夫ですよ。
素直にならなかったら
俺が説得します。」
「ワタル…」
優しい笑顔であやかを見つめるワタル。

「お前は…つらくないの？」
「つらいなんて…そんな事ないっすよ。
嬉しいだけです。今は…」
そっと撫でる薄茶の髪。

「俺は…
あやかの苦しむ姿を見る方が
よっぽどつらいです。
だから…ちゃんと幸せになるように
説得します。」
「深いねぇ…
あたしには出来ないな！
まぁでも…それがワタルの愛なんだよな。」
感心して呟く政子。
少し寂しげに笑うワタル。

「涼介は？
なんて言ってた？」
「前に…電話した時
こう言ってました。
『自分は誰よりもあやかを愛してる。』って…
昨日も親父さんに
『大切な人が入院した』って言ったらしいです。
だからあやかは涼介さんの婚約者って事になってるんですよ。」
「こっこっこんにゃくっ」
うずくまったまま叫ぶ武田。

「ふぅん…そうか。
後は２人がお互いの気持ちを確認するだけだな。」
「そうですね。」
「あやか…ゆっくり寝な。
幸せが…待ってるからね。」
呟いた政子。
微笑むワタル。



女神が目を覚ますのは

翌日の朝だった。



→あとがき。