「おはようございます。」
ノックの音と同時に聞こえた女の声。
ハッとして顔を上げる涼介。
イスに座りベッドにもたれるようにして眠っていた自分。


あ…朝か。

いつの間に寝ていたんだ？

薬を使わずに寝たのは久しぶりだな…


軽く伸びをして向かうドア。

「はい。」
「朝食と検温の時間なのですが…」
涼介を見上げる看護師。
ちらりと目をやるベッド。

「まだ…目覚めそうにないですね。」
安らかな寝息。

「そうですか…
では検温だけでも…」
「はい。やっておきます。
それと点滴が…」
「あっはい！後で持ってきます！」
渡された体温計。
慌てて出ていく看護師。
閉めたドア。


よく寝るな…あやか。

それだけ体力を消耗していたのか？


そっとあやかに近付くと
合わせの紐をほどく涼介。
服をめくり脇に差し込む体温計。

白くてなまめかしい肌。

鼻をくすぐる甘い香り。

鎖骨に優しく落とすキス。


「ん…」


ぴくりと反応する体。

少しだけ歪んだ眉。

続く寝息。


「あやか…

寝てていい。

ゆっくり休んで…元気になるんだよ。」

優しく撫でる薄茶の髪。