「ワタル！」
「あっ」
明かりの消えた病院。
夜間救急のライトに浮かび上がる長身の男。

「あやかはっ」
「今…検査中です。」
涼介を見てまた泣き出すワタル。

「そうか…原因は」
「胃潰瘍だそうです。」
「胃潰瘍！？」
目を見開く涼介。

「はい…おなかが痛いって胃腸薬を飲んでたんですが
それが逆効果だったらしくて…」
「そうか…
むやみに市販の薬を飲むなと言ったのに…」
眉間を押さえる長い指。
安堵のため息。

「あなたは…平気だったんですか？」
「ん？何がだ？」
顔を上げた涼介。

「あやかと会わなくて
体調とか、睡眠とか…」
「俺は胃腸薬も睡眠薬も手に入る。」
「薬に頼らなきゃ…
眠れなかった？」
涼介を見据える熱い瞳。
目をそらして頷いた涼介。

「そうだ。
あれ以来…ずっと体調不良だな。」
小さく笑った切れ長の瞳。
つられて微笑む武王の主任。

「やっぱり…
あなたとあやかは一緒にいるべきなんですよ。」
寂しげに呟いた声。
小さく頷く涼介。

「そうだな…
まだ…会えないか？」
「どうなんだろ…
よく分からないです。
とりあえず入りましょう。」
自動ドアへ向かう２人。