「あとは頼んだぞっあやか！」
細い両肩に置かれたゴツい手。
勢いよく払いのけるフレンチネイル。

「チッ
うっざ！」
「そう言わないの。
あやかの今後にも関わる事なんだから…」
舌打ちをした女神。
必死になだめるワタル。
主賓の元へ走り去る武田。

「今後ってー？」
「いつかはプロになるんでしょ？」
ちらりと見上げる薄茶の瞳。
にっこりと笑って尋ねるナンバー２。

「プロ…プロねぇ？
コレが関係あるの～？」
シフォンのドレスの裾を摘む指先。
すらりと伸びる真っ直ぐな細い足。
キラキラ光る編み上げピンヒール。
まるで芸術品のようなシルエット。

遠くで漏れるたくさんのため息。
横目で眺めて小さく笑うワタル。

「世界中のメディアや一流の車屋が集結してるんだよ？」
「だから何？」
これ見よがしに腰に回した手。
不機嫌そうな表情のあやか。

「武王を有名にするチャンスだし
あやかを売り込むチャンスだよ。」
「あたしは有名になりたいわけじゃないもんっ」
ぷぅっと膨らんだ頬。
ぷるんととがった唇。
歓声に近いため息。