「あやか…
みんなはホテルにいるの？」
「そうだよ。
奥日光の奥！
ケータイも通じないくらい奥だよ！」
冷静な声。
離した手。

「あ…
京一の親戚のホテルか…」
思い出したように呟いた清次。
吹き出した汗を拭った左手。

「そうだよっ
何が『大量キャンセルが出たから
武王の社員旅行にどうだ？』だっ
ムカつくっ！」
ぐりぐりと顔を踏むピンヒール。
苦痛に歪んだ京一の眉。

「いや…大量キャンセルは本当なんだ！
仕入れが無駄になっちまうから
エンペラーのメンバーで泊まろうって相談してたしっ」
「えっ？
なんで…」
不意にまっすぐ向いた薄茶の瞳。
途端に真っ赤になった長髪の男。

「俺はキャンセルの穴は埋まったってだけ言われた。
高橋涼介の研修先が近くだって聞いて…
ひらめいたのかも知れない。」
「迷惑なヒラメキだなっ！」
吐き捨てるような甘い声。
さりげなく寄り添う白い彗星。

「あやか。もういい。」
「でもっ」
「もういいんだ。
こんな所であやかに会えるとは思わなかった。」
「涼介さん…」
自然と伸びた手。
撫でる薄茶の髪。
見つめ合う２人。


「ほらな。
こんなにお似合いな２人は
そうそういねぇって…
見りゃ分かることなんだけどな。」

ため息混じりに笑った清次。

倒れたままのリーダー。




こうして

スドキョーの

『女神奪取計画』は

見事な失敗に終わったのだった。



→オマケです。