「なんだって言うんだ…
ちくしょう。」
呟きながら降り立つタオルの男。
白い車体の前に立つ白い彗星。

「お前の負けだ。」
「う…うるさい！
もう１本いくぞっ」
きっぱりと言った涼介。
吐き捨てるように怒鳴る京一。

「俺はもう走らない。」
「なんだと！？」
「下らん計画はすべて露呈した。」
「あん？」
冷たく光った切れ長の瞳。
京一の眉間に刻まれた皺。

「げっ」
見開かれた目。
思わず漏れた驚きの声。

カツンと響いた心地良い音。

夜風に揺れて輝く薄茶の髪。

いつも以上の強いまなざし。


「すーどーきょーっ」
いつもより低い甘い声。
どくんと揺れた京一の胸。

「あ…あやかっ」
「てめぇっ
何が『たまにはゆっくり羽のばせ』だ！
こんなつまらねぇ事するためだったのか！？」
ブチ切れている女神。
縮みあがる大きな体。

「ちっ違う！
誤解だっあやか！」
つかつかと歩み寄る細い足。
いつも通りのピンヒール。

「おっ俺はっ」
「問答無用！」
怒鳴ったあやか。
顔面にヒットした拳。

「ぎゃっ！」
見事にぶっ飛んだ京一。
冷たく見下ろす薄茶の瞳。

「だっ大丈夫かっ？
京一！」
慌てて駆け寄る長髪。
白目をむいたリーダー。

「なんかおかしいと思ったら…
涼介さんを動揺させるためだったんだな！」
「おっ俺はなんにも知らなかったんだ！
京一がいい考えがあるって言っててっ」
襟を掴んだ小さな手。
必死に弁解する清次。