「でもなんでタムラが…」
「あやかの事を書かれて
さすがに何とかしなくちゃと思ったんだ。
史浩と連絡を取ったら
北村さんが犯人を見つけたらしいって聞いてね。」
「あぁそれで…」
「あやかを危険な目に遭わせるわけにはいかないから
急いで来たけど…
間に合わなかったね。」
「でも走るの見せたからいいよ。」
「うん…そうだね。」
ゆっくりと寄り添った２人。
しっかりと繋ぎ合った手。
微妙な面持ちの男２人。

「北村なのにタムラなんすか？」
「どうもあやかの前じゃ緊張しちまって…
自己紹介の時に北村の『き』が聞こえないからって…」
「あぁ！
だからタムラ！」
「そう！
さすがあやかって感じだよな。」
納得顔の啓介。
笑った北村。

「タムラぁ！」
「なっなんすか！？」
突然、響いた甘い声。
びくんと反応する体。

「お前アライメントおかしいぞ！
武王いったのか？」
「行きました！
あっだけど今日、縁石にぶつかって…」
「なんでぇ！？ださっ」
「あやかさんからの電話にびっくりして…」
明るく笑ったあやか。
消え入りそうな声。

「あーごめん。
運転中だったか…」
「いやっ大丈夫ですっ」
赤くなった顔。