「俺も…あやかと同じだ。」
「えっ？」
冷たく呟いた声。
縮みあがる一同。

「俺の事なら何を言われてもかまわない。
Ｄがなんと言われようと気にしない…」
「涼介さん？」
聞いたこともない低い声。
涼介の背中を見つめるあやか。

「あっ僕はっ」
「高橋涼介なんかと付き合う女は
ろくでもない女だ…」
抑揚のない声で話す白い彗星。

「そんな事まで書きやがったのか！」
襟首を離し睨み付ける弟。

「他にもいろいろ書いてたな？」
「あっ…」
「てめぇ…」
一歩前に出た啓介。
後ずさるメガネ。

「啓介、下がれ。」
「えっ？あぁ…」
「許すわけにはいかない！」
「涼介さん！？」
「えっ…うわぁっ」
弟が退いた直後に動いた兄。
クリーンヒットした右手。
後ろにぶっ飛ぶ丸い体。

「兄貴っ！」
「すっげぇパンチ！」
見開かれた野性的な瞳。
感心して拍手する北村。

「やりすぎたか？
手加減したつもりだったが…」
事も無げに撫でる右手。

「涼介さん…」
「ごめん、あやか。
あやかの事が書かれて初めて分かったよ。
大切な人の悪口を言われるのが
どれだけ不愉快か…」
「うん…」
俯いたあやか。
近付く涼介。