「どっどーすんだよ？」
「あっちに立たせる。」
「あっち？」
「なんで涼介さんが白い彗星って呼ばれてるのか
コイツに見せるの。」
いつもの調子に戻ったあやか。
背中を小突いて歩かせる男。

「すいませんっ
許して下さいっ！」
「いいから黙って歩け！
逃げ出したりしたらブチ殺すからな！」
「ひぃっ
逃げたりなんかしませんっ
勘弁して下さいっ」
「だまれってんだよっ」
「うわぁっ」
怒鳴って蹴る背中。
またぶっ飛んだ男。

「啓介は見張ってて。
涼介さんが来たらあたしがバトルに誘うから…」
「あぁ分かった。」
目の前にあるコーナー。
おびえて泣き続ける男。

「うぜーな！泣くなよっ」
ぎろりと睨む野生的な瞳。

「啓介！
殴ってもいいけど
気を失わせないようにね。」
「まかしとけって。」
にやりと笑った２人。
ますますビビるメガネ。

「じゃああたしは上に戻るね…
えっ…」
「あやか？どうした？」
急に動かなくなった女神。
すぐに気付いた啓介。

「この音…涼介さんだ…」
「音？なんも聞こえねぇけど…」
「うそっ…なんで！？」
「兄貴もう来たのか？」
風に乗って微かに届く音。
大きく見開かれた薄茶の瞳。