「いやまさかこんなにかわいい人が来るとは思わなくて驚きです！
僕、勝手に男だと思い込んでました！
スタイルも非常にいい！本当にびっくりしてます！」
ぶつぶつと呟く男。
冷たい薄茶の瞳。

「どうして高橋涼介が嫌いなの？」
「よくぞ聞いてくれました！」
女神の声に輝くメガネ。

「いやぁ実は僕は外出が苦手なインドア派でして
ネットで出会いを求めているんですが
慣れ親しんだ地元の子を捜し当てて交流を持つと必ず
『好みのタイプは高橋涼介！』とか
『好きな人は高橋涼介さま！』とか言われるんですよ！
赤城の白い彗星とか呼ばれているらしいけど
何が彗星だって感じでー
都市伝説みたいなもんだと思うんですよねー
現れるのがいつも夜だからまともに顔なんか見えてないだろうしー
ネットにある高橋涼介画像は確かにちょっといい男だけど
ぜんぜん違う男の可能性もあるじゃないですかー」
ベラベラとしゃべり続ける男。
下を向いて深呼吸するあやか。

「だいたいプロジェクトＤだなんて大層な名前を付けといて
やっている事はただの違法行為だしー
関東最速なんて目指してどうするって感じじゃないですかー」
ぎりぎりと握る小さな拳。