カタカタと響く音。
液晶を見つめる瞳。

「どぉ？
乗ってきた？」
「えぇ…相当チャット慣れしてますね。」
肩越しにのぞき込むあやか。
動揺しながら答えた北村。

「引きこもりでしょっ
どーせ！」
「俺みたいに仕事にしてる人間もいますよ。」
「仕事にしてる人間は
こんなつまんねー事しない！」
「確かにそうですね…
ん？群馬の人間みたいです。」
会話しながらも止まない音。
次々と上がって行く文字列。

「地元民が涼介さんの悪口かいてんのかよっ」
「えぇ！？
涼介さんには会ったことないって…」
「なんだとぉ！？
Ｄに負けて逆恨みじゃないのっ？」
「待って下さい…
しょうがないな…」
次々に繰り出される罵詈雑言。
怪しまれぬようにする同調。
明らかにキレている女神。

「なんとかしろよっタムラ！」
「分かってますよ。
焦らせないで下さい。
次にいつ涼介さんが赤城に行くか分かりますか？」
「金曜日に走る約束してるけど…」
呟きと同時に動いた手。
顔を晒そうと言う誘い。

「どうだ？
あぁ…食い付きました。」
「タムラ…お前あくどいなぁ。」
「ずる賢いと言って下さい。」
「おんなじじゃん。」
小さく笑った２人。