「まぁでもワタルの言い分が正しいのかも知れねえな。」
「啓介？」
大きく息を吐いて吸ったタバコ。
しゅんとして啓介を見上げるあやか。

「兄貴の言うことはいつも正しいからな。」
「そうだけど…」
わざとらしく髪を撫でる大きな手。
俯いてだんだんととんがった唇。

「あやか…
涼介さんと会えないからダメなんじゃない？」
「えっ？」
「たぶん…
気にしてない涼介さんと一緒にいれば
あやかも気にならないんじゃないかな？」
「そうかなぁ…」
まだまだつんと上を向いた唇。

「そうだそうだ！
続きは兄貴と頼むぜ！
インターネットの事なんてわかんねぇしなっ」
にっこり笑って言う啓介。

「言われなくても今日は涼介さんちに行くもんっ」
「そうそう！
君らはおとなしく一緒にいなさい！」
がしがしと髪を撫でまくる手。
迷惑そうに顔を歪めたあやか。

「やめてよっ
髪ぐしゃぐしゃになっちゃうじゃん！」
「いい子いい子！」
「やぁだっ」
「おいっやめろよ！
走る時間なくなるぞっ」
たまりかねて言うワタル。

「早く走ろうよっ」
「わかったよ。」
「行くぞ！」
次々に乗り込む３人。
途端に吠えた３台。
早くも動いた青。