「うん…
あやかはかわいいよ。」
「啓介がそう言うならホントかなぁ？」
控えめに言った啓介。
くりんと傾げた首。


「なんだよっ信じねぇのか？」
「だって～」
「あやかはかわいいし！
スタイルもいいしっ
声だってかわいい！
俺はあやかが大好きだっ！」
「うるさいなぁ！
もう分かったよっ」
次々と繰り出す言葉。
うんざりした表情。

「うるさいってなんだよ。
せっかく褒めてんのによー」
「なんかウソくさいだもん！」
「ひでーっ
俺はあやかが大好きなんだぞ！」
「分かったってばっ
しつこ～い！」
「大好きだっ！」
思わず抱きしめた体。
鼻をくすぐる甘い香り。

「あ…俺
あやかの匂いも好きだぜ。」
「においぃ～？」
「うん。」
「どんなにおい？」
「うーん…
どんなって聞かれてもなぁ…
いい匂いとしか言えねぇよ。」
「そんなんじゃわかりませ～んっ」
おどけるあやか。
むっとする啓介。

「大好きだから大好きって言ってんのに
信じてもらえねぇって悲しいな。」
「えー？
あっ電話！」
振動する胸ポケットの中。
取り出したケータイ。

「だぁれ？」
「あ、リュウだ。」
開いて耳にあてる通信手段。