「３４…
やっぱりいい車だな。」
前を見据える瞳。
迫るコーナー。

「なっここで動くか！？」
ミラーから消えた赤。
全身に広がる鳥肌。

「行かせねぇ！」
アウトにずらしたライン。
突っ込んできた赤い風。
ありえないスピード。

「バカ！
ガードレールっ」
叫んだハスキーボイス。
ついつい避ける中里。

「よけなくたってぶつからないのに。
まぁ遠慮なく抜かせてもらいますが～」
にやりと笑ったあやか。
するりと抜いた黒。

「くそ！なんなんだっ
あの加速！」
必死に追う紅子。
確かに感じた安堵。
思わず漏らした苦笑。



どうかしてるな


抜かれて安心するなんて…


女神に追われるなんて

耐えられねぇよ。


分かってるもんな


必ず抜かれる…って。


こっからは思う存分

追わせてもらうぜ。


小さく頷いた中里。

「ワタル…
後は頼んだぜ。
ちょっとは粘れよ。」
呟いた声。
踏む右足。
動く左手。



あやか


紅子


レッドウィンズのナンバー２…


もしかしたら俺は

ものすげぇ贅沢な場所にいるのかも知れないな。


「うわっもう行くか！」
ついと出る赤。
ちらりと見えた青。