「まぁやるしかねぇな。
四駆の意地にかけて
お前だけでも抜かれんなよ。」
「ずいぶん自信ないね。」
「あるわけねぇだろ。
女神だぜ？」
自虐的に笑ったナイトキッズのリーダー。
もっともだと言うように頷いた武王の主任。

「せいぜい頑張ります。」
「俺もなるべく引き留めるように努力するぜ。」
あきらめ顔の２人。
元気に吠えた紅子。

「早くしろぉ～っ」
聞こえた甘い声。

「健闘を祈る！」
「こっちこそ！」
短く言って乗り込む２台。
ほぼ同時に始めた呼吸。
くるりと回った青。

「早く～っ」
「分かってる！」
叫ぶ女神。
回転する黒。

「うわっあぶねぇっ」
突然、動いた赤。
かすったバンパー。

「なんだなんだっ」
「上に戻るんだ！」
「三つ巴か！？」
「Ｒと紅子の勝負？」
「みっ見てぇー！」
一斉に騒ぎ出したギャラリー。
爆音をあげて走り去る３台。
遠ざかるエキゾースト。

「エイトか…
こんなにパワフルな車だとはな…」
ちらりと目をやるミラー。
後ろに張り付いた紅子。
強大なプレッシャー。

「女神に追われるなんて
ありえねぇ体験だろうが…
心臓に悪すぎるな。」
ごくりとのんだ息。
感じる強いオーラ。