「で？どうするの？
バトル続ける？」
薄茶の瞳を覗き込むワタル。

「うーん…」
「俺はどっちでもいいぞ。」
唇に添えられた人差し指。
優しく呟いて微笑む中里。

「なんかもう…
バトルって気にならないよ。」
「同感だ。戻るか。」
「うん。」
俯いたあやか。
撫でた髪。

「待って。
上が心配してるから電話だけ」
言いかけて響いた音。

「噂をすればだね。」
にっこり笑って開くケータイ。

「もしもし？
なんか途中でトラブったらしくて…
いや、怪我とかはないです。
ええ…これから戻ります。」
「かっちゃんだ。」
「勝さん？」
「うん。
心配性だからね～」
苦笑した女神。
畳んだケータイ。

「じゃあ行こうか。」
「ああ。」
「ねーっ
途中で抜くのあり？」
にやりと上がった口角。
長い爪がつまんだ唇。

「抜くぅ？
半分とちょっとで２台も抜けるの！？」
「いくら女神でも無理だろ。」
素っ頓狂な声。
冷たい突っ込み。

「むーっ
ぜったい抜いてやるからっ！」
不機嫌そうに怒鳴った甘い声。

「女神に宣言されたぞ！」
「怒らせるつもりなかったんだけどなぁ…」
驚く中里。
困るワタル。
乗り込むあやか。