「うわぁ～んっ」

轟く子供の泣き声。


「なんだっ？」

「事故ったの！？」

「大丈夫かっ」

聞こえたギャラリーの声。

ゆっくり開いた薄茶の瞳。


「あ…」

寄り添うように並んだ黒。

ガラス越しに見えた笑顔。


「あっ子供！」

ハッとして開けたドア。

降り立つ細く長い足。


「ままぁ～っ」
「ごめんねっごめん！」
小さな体を抱きしめる母親。
次々に出てくるギャラリー。

「女神！
すいませんっ
ウチの息子がバトルのジャマして…」
深々とお辞儀をした男。

「お前なぁ！
バトルのジャマとか
そんな問題じゃねえだろっ」
「毅…」
「あやかじゃなかったら轢いてたかも知れねぇんだぞ！
こんなとこ連れて来んなら
しっかり手を握ってろ！」
怒鳴るハスキーボイス。
涙目で頷いた父親。

「本当にすいませんでした！」
「分かったんならいい。
怪我…しなくて良かったな。」
「はいっすいません！」
そそくさと路肩へ戻るギャラリーたち。

「ったく…
もしかしてアレも女神の子なのか？」
「女神の子！？
なにそれぇ？
なんであたしの子なのっ？」
呟いた中里。
驚くあやか。