「ホントに来るのかよ？」
「うるせぇな。
信じないなら帰れ。」
吐き捨てるような声。
ざわざわと騒がしい男たち。

「レッドウィンズが復活したってのも
ホントかどうか疑わしいのによ。
わざわざ妙義まで来るわけねぇって…」
「ブツブツ言うなら帰れって言ってるだろ！」
「ひっ独り言だよっ」
怒鳴ったハスキーボイス。
慌てて弁解する庄司慎吾。



あやか…


早く来い。


お前に会いたいんだ…



不意に響いた音。
ケータイを開く中里。

「来たか？」
『きっきっ来ましたぁ！』
叫びに近い声。
聞こえる爆音。
こぼれた笑顔。

「紅子と青い３４か？」
『ちっ違いますっああぁっ』
意外な否定。
涙に震える声。

「何を泣いてんだ？
違うって…」
「来たぞっ」
耳に届いたエキゾースト。
重なり合うたくさんの爆音。

「もういい！
お前もすぐ上がって来い。」
言うだけ言って畳むケータイ。
振り返った瞳に飛び込んだ赤。
懐かしさに締め付けられる胸。

「紅子…」
「あやかさんだぁっ」
「ホントに…レッドウィンズだ…」
口を開けたまま呟いた慎吾。

「ウソだろ…こんなっ
こんなのっ」
うめくように言った中里。