『まぁそーゆーことだから。』
「そっそーゆーって…
どーゆーことなんすか！？」
『あやかに手ぇ出したらぶっ飛ばすからな。』
「なっなんの話ですか！？」
お構いなしな智幸。
ゆらゆらと泳ぐ目線。
にっこりと笑った女神。

『飲酒運転はすんなよ！
ってあやかは酒のまねぇか。
じゃあな。』
「えっ！？トモさんっ
うわっ切れた！」
聞こえる電子音。
沈黙したケータイ。

「なんだって？」
見上げる薄茶の瞳。
思わずそらす視線。

「よ…よく分からない。」
「トモちゃん強引だからねぇ。
ごめんね…イヤだった？」
「いやっその…
イヤなんかじゃないよ。」
ポリポリと掻く頭。
気まずい雰囲気。

「あやかっ
久しぶりだな！」
打ち破った沈黙。
響いた明るい声。
近寄って来た男。

「あ…久しぶり、ヒデちゃん。
何してんの？」
「横浜観光！」
「ウソくさっ」
「ははっ
武王に行ったら
ちょうど紅子が出てくの見えたからさ。」
「後つけてきたの！？」
「だってあやかに会いに来たんだぜ？」
これ見よがしに抱いた肩。
迷惑そうな顔のあやか。

「邪魔…するな。」
不意に聞こえた声。

「ん？誰だ？お前…」
「大輝…」