「いまどこなんですか？」
『今？ガレージだ。』
「ガレージって…」
呆気にとられる大輝。

『悪ぃな、大輝。
こうでもしなきゃ
お前は連れ出せねぇと思ってよ。』
「どういう事ですか？」
『あやかがお前と話したいって言うからさ。
あやか来たか？』
「はい、います。」
ちらりと見る細い足。
ドキドキとうるさい胸。

『いるのか！
じゃあ代わってくれ。』
「えっ？」
『あやかと話したいんだよ。
代われって！』
「分かりました。
あやか…トモさんが話したいって…」
「え～？あたし？」
差し出すケータイ。
笑顔で受け取る女神。

「もしもし～？
どうなってるの？」
話し出すあやかを見つめる大輝。

「え～？
うん…そうなの？
別にいいけどさ…うん。」
ぷっくりととんがった唇。
つやつやと魅惑的な輝き。

「あははっ大丈夫だよ。
大輝だよ～？
サカイくんじゃないんだからっ」
笑い出したあやか。


何を話してるんだろ？


俺と何を話したいんだ？

あやか…


「うん、わかった～。
大輝と代わるね。
はい、返す。」
渡されたケータイ。
ほんのり残るぬくもり。
ふんわりと香った甘い匂い。