「あやかが…」
思わず俯いた涼介。
にっこり笑った弟。

「あやか…兄貴の心配ばっかりしてたぜ。
ちゃんと寝てる？とか
ご飯きちんと食べてる？とか聞かれまくったし…
かわいいとこあるよな。」
じわじわと沸き上がる愛しさ。
ぎゅっと瞑った切れ長の瞳。

「忙しいのも分かるけど…
心配したりイラついたりすんなら
会っちまった方がお互いのためじゃねぇ？」
「あぁ…そうだな。
すまない…」
吐き出すため息。
首を振った啓介。

「ただでさえ忙しい兄貴を
もっと忙しくさせてるのはＤだしな。
俺に手伝える事があったらいつでも言ってくれよ。」
「…ありがとう、啓介。」
優しく笑った弟。
小さく頷いた兄。
思い出す細い肩。

「あっあのさ…
お礼代わりと言っちゃ何だけど…」
遠慮がちに言う啓介。

「ん？なんだ？」
「カレー…食ってもいい？」
「食べたんじゃないのか？」
「スプーンで一口だけだぜ？
一杯だけでいいからさっ
なっ！？いいだろっ？」
きょとんとする白い彗星。
必死に頼み込む大きな体。

「別にかまわんが…
ただし、一杯だけだぞ。
お前は際限なく食べそうだからな。」
思わずこぼれた笑み。
ガッツポーズの啓介。