何をしてるんだ…俺は

自分で自分が嫌になる。


どうして素直に聞けない？


啓介は弟だぞ？



襲い来る自己嫌悪。
ぎゅっと瞑った目。
手にしたスプーン。

「うまいな。」
思わず漏れた声。
口に広がる香り。
まったりした味。



しかしカレーを取り寄せ？


手作り主義のよしえさんにしては

おかしな話だ…



確かに感じる甘み。
口でほどけるような肉。
しっかりと存在する野菜。



それにしても美味い。


元気が出る…か。


嘘じゃないな。



あっと言う間に平らげた涼介。
皿を手に向かうキッチン。
ハッとする家政婦。

「あっおかわりは…」
「いや…もういい。
でも…確かに美味しかった。
いったいどこから取り寄せたんだ？」
「えっ」
ふと尋ねた質問。
明らかに動揺した顔。
じろりと光る切れ長の瞳。

「さっきの啓介と言い…
なんなんだ？
俺には言えない事なのか？」
責めるような冷たい声。
目に留まる大きなタッパー。

「あれは…」
「あっ」
振り返ったよしえ。
見覚えのある蓋。

「確か…武王にあった…」
呟いた涼介。

「どう言う事だ？」
さらに低い声。
観念した顔。