「元気ねぇならかっカレー食えば？
きっと元気でると思うぜ。
すげぇうまいし。」
「そのつもりだ。」
さらに冷たく言い放つ兄。
不自然に何度も頷く弟。

「しかしそんなに特別なカレーなのか？」
「えっ！？」
明らかに動揺した野性的な瞳。

「取り寄せでもしたのか？」
「とっ取り寄せ？
えーと…まぁ…そんなもんかな？」
「お待たせしました！」
キッチンから出てきた家政婦。
広がるスパイシーな香り。

「まだたくさんありますので
おかわりもオーケーです！
どうぞっ」
張り切って言う声。
テーブルに乗った皿。
真っ白なご飯にカレー。
盛られたシーザーサラダ。
綺麗に並べられたスプーン。

「いいから食べてみろって。」
にっこり笑った啓介。
胸の中で弾けた塊。

「もういい！
食事くらい１人でゆっくりさせてくれ！」
迷惑そうに怒鳴った涼介。
びくっと跳ねた家政婦。
ハッと目を見開く弟。

「申し訳ありませんっ
失礼します！」
慌てて下げた頭。
足早に戻るキッチン。

「わ…悪かったよ。
兄貴も疲れてんだよな…ごめん。」
ぼりぼりと頭を掻いた手。
バツが悪そうに出ていく背中。
１人で深いため息を吐き出す涼介。