「俺もお揃いがいいけどな…
見間違えられちゃ困るだろ？」
背中を丸めた貴之。
覗き込む薄茶の瞳。
赤い頬で頷く女神。

「じゃあ…赤！」
「赤！？」
「三倍かっ」
目を見開いた智幸。
思わず叫んだトム。

「三倍？」
「いや…なんでもないっす！」
首を傾げたあやか。
一歩下がった足。

「赤か…
お前らしいかもな。」
「武王にすごくキレイな赤があったの！
武田に塗ってもらおうっ」
「あぁ…アレか。
武田が一目惚れして買ったはいいけど
塗装依頼がないって言ってたな。」
にっこりと笑い合う２人。
面白くなさそうな男２人。

「で？
今日は走んねえの？」
「走るもんっ」
即答した甘い声。
赤くなった智幸。

「あやか、無茶すんなよ。」
「だいじょぶだもん！」
「俺の後ろついて来い。」
「わかった～」
薄茶の髪を優しく撫で
ユキに乗り込む帝王。
女神は白いＦＤ。

「俺たちは？」
「好きにしろ。」
「ほんじゃとりあえずお手並み拝見。
ココで見てるよ。」
ひらひらと振った手。
同時に吠えた白い２台。
爆音を響かせ走り出す車。

「うわっすげぇ！
マジかよ！？」
「帝王みてぇなスタートダッシュ！」
重なった叫び声。