「政子さん…
明日納車って電話があったんだけど…？」
「あぁ…意外に早かったな。」
「あの…納車って？」
びくびくと話す声。

「何時に来るって？」
「午後って言ってたけど…
政子さん？」
「来たら３番に入れとけ。
シャッター下ろしてあやかに見つからないようにな。」
冷たく言い切った政子。ますます挙動不審な武田。

「ちょっと待ってっ
納車って…何が来るの？」
「ＦＤのＲＺ。」
「えっえふでぃっ！？
あっあーるぜっと！？」
「うるせぇなっ
大声だすんじゃねぇよ！」
すかさず繰り出されたパンチ。
ばっちり吹っ飛んだ武王の社長。

「おぉー
久々に見たなぁ…
会心の一撃。」
事務所に現れた影。
灰皿に押しつけるタバコ。

「明日？」
「あぁ、早かったな。」
「そりゃあ第一号だからね。
慣らしは俺がやるよ。」
にっこり笑った帝王。
素直に頷いた政子。

「たっ貴之が乗るのか？」
「俺が乗るわけねぇだろ。
俺にはユキがいる。」
よろよろと立ち上がった武田。
冷たく見下ろすギラギラした瞳。

「じゃあ…政子さんが？」
「こんなハラボテでロータリーなんか
運転できるかってんだよ！
バーカ！」
大きな腹を撫でる政子。