「あやか…」
心配そうに女神を覗き込むワタル。
ぞっとするほど冷たい薄茶の瞳。

水を打ったように静まる一同。

ゆっくりと動いた薄紅色の唇。


「レッドウィンズは…

今日で解散する。」


目を見開くワタルと智幸。

ざわざわと騒ぎ出すメンバー。

「解散って！？」
「そんなっ」
「いやですよっそんなの！」
泣き出しそうな声。


「もう…

紅子もたかにーもいない。

あたしはもう…走れないよ。」


かすれた甘い声。

ぽろりと落ちた雫。

言葉を失った男たち。


「ハイウィンズは？」

遠慮がちに囁くナンバー２。

さらりと揺れた薄茶の髪。

「ハイウィンズは…

あたしが決めることじゃない。

みんなで決めて…」

きらきらと輝く雪。

大きく吐いた息。

揺らめいた体。

「あやかっ」
「女神！」
あやかを抱きしめたワタル。
真っ白な頬をこぼれていく涙。

「火葬場…行かねぇとな。」
そう言ってあやかの肩を叩いた智幸。
力なく頷くだけの女神。

「俺の車で行くか？」
「いや…３２で行きますよ。
いいよね？あやか。」
「うん…」
「お前らっ
くれぐれも安全運転で来いよぉっ」