「あっ」
思わず声をあげた涼介。
参列者の列に見えた制服。
隣に立ち細い体を支える男。
きつく唇を噛んでいるワタル。

「あやかちゃん…」
口の中で呟くと
キリキリと痛む胸。
無意識に噛んだ奥歯。

「あ…あやかちゃんだ…
なんだか昨日より顔色が悪いな…」
悲しげに言う史浩。
うつろな薄茶の瞳。

『最後のお別れです。』
響く司会の声。
漏れる嗚咽。
悲痛な声。

『バタン』
静かに閉じられた扉。
悲しく轟くクラクション。
次々と泣き崩れるメンバー達。

見えなくなった黒い車体。
すすり泣きが重なる会場。
ひらひらと舞い降りた白。

「あ…雪。」
涼介の耳にも届いた甘い声。
一斉に静まり返った全員。

「貴之からのプレゼントかもな…」
寂しげに呟いた影。
抱きついたあやか。

「トモちゃんっ」
「あやかっ」
「めがみぃっ」
「あやかさぁんっ」
あやかに群がる男たち。
薄茶の髪に落ちては消える雪。

「追悼集会やろうぜ…
これから。」
低く呟いたハイウィンズのナンバー２。

「帝王を見送るんだ！」
涙をこぼしながら言ったケイゴ。
次々にあがる歓声に似た雄叫び。
智幸から離れて顔をあげた女神。