「ふーん。
先輩がマリッジブルーねぇ。」
「政子さんはマリッジブルーにならなかった？」
「あたしは子供が先だったからねぇ。」
「そっかぁ。」
「お騒がせしてすいませんでした。」
ソファに座って頭を下げた涼介。
紫煙を吐きながら微笑む政子。

「いいのよ。
喧嘩して絆が深まるんだから…
こうなると思ってたわ。」
「そうなの？」
首を傾げた女神。

「乗り越えられなきゃそれまでだしね。
ところで…その先輩は？」
「昨日会って来たよ。」
「それで？」
「あやかと話して吹っ切れたみたいです。
絶対いい結婚式にするって張り切ってました。」
満足げな白い彗星。
にっこり笑ったあやか。

「ふぅん…
あやかは何を話したの？」
「俺は知らないです。
２人で話した方がいいと思って…」
薄茶の瞳を覗きこむ政子と涼介。

「えー？
愛してるって言っても生きててくれてるのに
後は何が欲しいの？って…
これからも２人で生きていけるんだから
それだけでいいでしょって言ったの。」
「それで…」
「先輩は？」
身を乗り出す２人。

「話してたら泣いちゃって…
大事なことを忘れてたって言ってた。」
「大事なこと？」
首を傾げる政子。