「もぉっムカつく！」
「あやか？」
不機嫌そうにボタンを押す長い爪。
出てきた缶を取り出す涼介。

「でも…言い過ぎた。」
呟いた甘い声。

「そんな事ないよ。
あの２人には…あのくらいがちょうどいいんだ。」
優しく笑って薄茶の髪を撫でる大きな手。

「車を…ぶつけるのは…
車を甘く見てるからだって…
そんな気持ちは…死を招くって
たかにーに言われた事があって…」
「そうだね…
パラレル走行だって一歩間違えば危険だ。」
「あ～でも言い過ぎちゃった！」
「大丈夫だよ。
あやかが言わなきゃ俺が言ってた。」
ぽんぽんと優しく頭を叩く涼介。
小さく頷くあやか。

缶コーヒーを飲み終えた頃
２人の元にやってきた２人。


「あ…あやか…」
「なに？」
「ごっごめんなさいっ！」
揃って下げた頭。
ぽかんとする女神。

「わっ悪いのは自分なのに…
啓介のせいにして…
ごめん…
お前もなんか言えよっ」
照れくさそうに言ってから
啓介を小突くワタル。

「ワタルと…パラレル出来て嬉しくて…
さっ最後で…油断しちまったんだ…
ごめん。」
バツが悪そうに頭を掻く啓介。

「ふふっ」
不意に笑いだしたあやか。