「あやか！
紅子はばっちりだよ。」
「ワタルは楽しそうだね…」
笑顔でやって来た武王の主任。
ため息混じりに呟く女神。

「ははっ
そりゃあ…ね。
車屋なら一度は挑んでみたい相手だし。」
「だったらワタルが走ればいいじゃん！」
「車だけじゃないんだよ。
自分の作り上げた車に
自分が育て上げた子供を乗せてるんだから…ん？」
あやかに近付くと足の下に感じた違和感。

「ぐっ」
「げっ社長っ！？」
蛙のような声。
慌てて後ずさるワタル。

「いいよ。つぶしといて…」
「あやか…」
冷たく言ったあやか。
呆れたように笑う涼介。

「ったく酔った勢いのケンカで
なんであたしとたっくんが走らなきゃいけないのよっ」
「ぐっ」
ぐりぐりと武田を踏みつぶす白いピンヒール。


『いやっウチの紅子とあやかが一番でふよっ』
『あにいってんだっ
拓海とハチロクのがはえぇにきまってんだろっ』
『関東最速はあやかれすっ』
『いやったくみらっ』
『ほんならバトルできめましょーよっ』
『わぁった！受けて立つぞ！』
数日前の出来事。
武王に遊びに来た藤原親子。
酔っぱらい２人のやりとりを
笑いながら見ていた拓海とあやか。