「あぁ…この前
話してた…」
「うん…同じだったの。」
「同じじゃない。」
きっぱりと言った涼介。
鼻をすすりながら
顔を上げたあやか。


「俺は…

誰よりもあやかを愛してる。

誰とも同じじゃないんだ。

分かった？」

自分を見つめる切れ長の瞳。

端正な顔に浮かぶ優しい笑み。

そっと頬を撫でる細くて長い指。


「うん…

分かった…ごめんなさい…」

「謝らなくていいよ。

俺も悪かった…」

泣き出したあやかを包み込む涼介の胸。

重なる２人の影。


「明日…武王に行くつもりだったんだ。」
「武王に？」
「うん…渡したいものがあって。」
「渡したいもの？」
涼介を見上げるあやか。
胸ポケットに差し込まれた手。

「これ…」
「なぁに？」
渡された小さな紙袋。
首を傾げる女神。

「ケースも買ってあったんだけど…
まさかここで会うとは思わなくて…」
落ち着かない様子の白い彗星。
がさがさと袋を開ける小さな手。

「あっ」

見開かれた薄茶の瞳。

透明な袋に入った丸。

見覚えのある装飾。

「これ…」

「うん。おそろいだよ。」

涼介の手に光る指輪。


よみがえる記憶。