「何か…してたんですか？」
「いろいろとな。
しかし…
最初に態度が変わったのはあやかの方だ。
いったい何があったんだ。」
「涼介さんが…何かしたんですか？」
「俺が？
俺は何もしていない。
思い当たる事なんて…」
反応した２人。
聞こえた吠吼。

「この…音…」
「誰っすかね？
こんな時間に…」
目を見開く涼介。
動きの止まるケンタ。
現れた深い紅色の流線型。

「紅子！？」
「あやか…」
自販の前にとまった赤。
降り立つしなやかな体。

「気付いてない…？
あっ！
あっちからＦＣは見えないのか！」
独り言のように呟いたケンタ。
苦しそうな表情の涼介。

「あっ俺っ
もう帰ります！」
「えっ？」
「ちゃんと…あやかと話して下さい。」
「言われなくてもそうするつもりだ。」
「そっすよね。
応援してます！」
「お前…まさか知ってて」
「いやっ！
知らないっすよ！！
あやかが赤城に来るなんてっ」
慌てて両手を振るケンタ。

「そうだな…
ありがとう。」
「いやっ
俺なんかちっとも役に立たなくて…
やっぱり２人は離れちゃいけないんすよ。」
「あぁ…そうらしいな。」
愛しいシルエットを見つめる切れ長の瞳。