「そうだったんだ。」
「うん…
でもホントに平気なんだよ。」
優しい瞳の幼なじみ。
並んで座っている２人。

「気晴らしにドライブでも連れてってやりたいけど…
バカ親父がいないから…
ごめんな。」
「ううん！いいよ。
あたしが急に来たのがいけないんだから。」
「あやかは悪くない。
来てくれて嬉しい。」
ほのかに赤く染まった頬。
ゆっくりと拓海にもたれかかるあやか。

「やっぱり落ち着くなぁ。
たっくんといると…」
「そう？
やっぱり声なのか？」
「ううん！
声だけじゃないよ。
なんか…よく分かんないけど
最近あたしの周りがソワソワしてて。」
「ソワソワ？」
愛しい人の顔をのぞき込む拓海。

「うん…
政子さんには別れたならプロになれって言われるし
武田は紅子をちょこちょこいじっては走らせてこいって言うし
ワタルはいろんな所に連れてってくれるし…
なんか落ち着かないの。」
苦笑したあやか。
動いた拓海の手。
包み込む小さな手。

「たっくん？」
「本当に会わないのか？」
伝わるぬくもり。
懐かしく愛しい声。
思わず下を向く女神。

「うん。
一緒に過ごした思い出があれば
あたしは生きていけるもん。」