「ワタルさん！」
「あんだよ！？
いま手が放せねぇ！」
叫んだ新人。
ガレージに響く会話。
足まわりを調整中のワタル。

「なんか客きてますっ」
「客？」
かまわず作業を続けるゴツい手。

「色黒の男があやかさんに話があるって…
あやかさん呼んできていいんすか？」
「いいわけねぇだろ！
ちょっと待ってろ。」
「俺がやりましょうか？」
「いや、もう終わる。」
鮮やかすぎる手さばき。
ほれぼれと見つめる新人。

「まだあやかには言うな。
俺が見てくる。」
「はいっ」
駆け出す武王の主任。
思い当たる人物。


色黒の男？

まさかあいつじゃねぇだろうな…


「あっ…」
ガレージの出口に立ち
自分を見て凍り付く男。

「てめぇっ何しに来た！？」
思わず怒鳴ったワタル。
縮みあがるケンタ。

「二度とツラ見せんなっつっただろうが！！
こんなとこまで来やがって！
ブチ殺されてぇのか！？あぁ！？」
襟首を掴みあげる大きな手。
声も出せずに振った首。
怒りに燃える瞳。

「わっすっすいませんっ！！
あやかにっ
どうしても伝えたい事があるんですっ」
震える声。
流れ出る汗。
涙目のケンタ。
鬼のような形相。