「俺が悪かった！」
同時に下がった２つの頭。

「いやっ悪いのは俺っすよ！文太さんっ」
「お前じゃねぇよっ
俺が酔っ払っちまったから！」
「言い出したのは俺ですからっ」
「受けて立つって言ったのは俺だ！」
「もぉっ！
そんなんどっちでもいいっ！」
鶴の一声。
ほっぺたをふくらませたあやか。

「２人が悪いの！
反省したのかっ！」
「はいっ」
揃って背筋を伸ばして返事をするオヤジ２人。
笑いをこらえるのに必死な啓介と史浩。

「ごめんなさいはっ？」
「ごっごめんなさいっ！」
またしても揃って下げる頭。
吹き出す啓介。

「だって。
許してあげてもいいかな？
たっくん。」
「ははっいいんじゃん？
貴重な体験できたし。」
拓海を見上げる薄茶の瞳。
笑顔で撫でるやわらかい髪の毛。

「もう２度とこんなことさせないでよ！
比べたいなら自分が走りなさいっ
分かった！？」
「はいっ」
揃って頷く２人。
それを見てにっこり笑うあやか。
後ろで爆笑している啓介。

「あやか。」
「なに？涼介さん…」
「俺と…走ってくれないか？」
「ん？なんで？」
ほのかに赤くなった涼介。
不思議そうに見上げるあやか。