「つかまってて。」
「えっ？うん！」
呟いた涼介。
従うあやか。

「きゃっ」
踏み込んだ右足。
回すステアリング。
鳴り響くスキール音。
ぐるりと回転した景色。

「うわっ」
「やだっ何！？」
「すっげぇ！」
風に乗って届く声。
右側に移動した海岸。

「あ！」
「ここを左でいいんだよね？」
さしかかる信号。
優しく尋ねる声。

「うん…」
小さく頷くあやか。
羨望の眼差しを受け走るＦＣ。

「来たなぁ～っ」
突然 聞こえた元気な声。

「あっきいちゃん！」
「久しぶりね！あやかっ
待ちきれなくて迎えに来ちゃったわよ！」
こんがり茶色の笑顔。
嬉しそうに笑う女神。

「ＦＣかぁ！
ユキを思い出すねぇ。」
「初めまして。」
覗き込むようにお辞儀をした涼介。
にやりと笑った色黒の女。

「赤城の白い彗星か！
いい男ね。政子から話は聞いてるよ！」
「きいちゃんは政子さんの先輩なんだよ。」
「ほらほらっ
そんな話は後ででいいから！
とっとととめてっ
店いくよ！」
「はぁい。」
するりと駐車場に収まる白。
降り立つ女神と白い彗星。

「あらまぁなんだか
お似合いな２人だねぇ！」
はにかんだように微笑む２人。