「べっ別にもう平気だ！」
「じゃあ走りに行こうよ～
カーブだらけなんでしょ？
楽しそうじゃんっ」
口を押さえる大きな手をずらす小さな手。
にやりと笑ったあやか。

「あやかはもうすぐテストだろ！
バトルより勉強だ！」
「むーっずるーい！」
「ずるくないっ」
とがらせる口。
真似する貴之。

「おいっ」
「うるせぇって！
バトルしてぇならココでしてやる。」
「バトル？
後ろの黒い車と？」
冷たく言った帝王。
嬉しそうな女神。

「あぁ、パンパンうるせぇエボを黙らせるいいチャンスだ。」
「えぼ？エボって言うの？
四角いのに早いよねっ」
「美的感覚のカケラもねぇシルエットだよな。」
「そうかなぁ？
面白いじゃんっ
箱なのに早いの！」
楽しそうなあやか。
不機嫌そうな貴之。

「ちょっと待ってろ。
脇田のじじいに話つけてくる。
行くぞ、あやか。」
「はぁい。」
黙ったまま頷く２人。
大きな背中を追う女神。
真っ赤なままの京一の顔。

「大丈夫かよっ」
「へっ平気だ…」
「耳まで真っ赤だぞ？」
「うるさいっ
便所いってくる！」
駆け出す京一。
苦笑いの清次。
呟いた独り言。

「分からねーでもねぇけどな。」